正真正銘の真実
ミッチェル・サンダーズが静かに言った。「この話の続きをお前は信じないと思う」 「信じないかもしれない」と私は言った。 「信じないさ。その理由がわかるか?」 「どうしてだろう?」 彼は疲れたような笑みを浮かべた。「それが実際に起こったことだからさ。ひとことひとことが正真正銘の真実だからさ」
ティム・オブライエン/村上春樹訳『本当の戦争の話をしよう』文春文庫