ボブ・ディランにとって歌とは?

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時代の道標

わたしが歌うフォークソングには、気楽なところはない。親しみやすくもないし、心地よい甘さにあふれてもいない。やさしく打ち寄せる波とはちがっている。商業性が欠如していると言ってもいいだろう。それだけではなく、私のスタイルは型破りであり、ラジオの枠組みの中で分類するのはむずかしかった。

わたし自身にとっても、歌は軽い娯楽ではなく、もっと重要なものだった。歌とは、異なる現実の認識へ--異なる国、自由で公平な国へ--導いてくれる道標だった。

ボブ・ディラン/菅野ヘッケル訳『ボブ・ディラン自伝』