アダム・チェルニアコフに捧げる詩

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   アダム・チェルニアコフに捧げる詩

 

 
あなたに会いにやってきた

 

この極寒の

ワルシャワ外れのユダヤ人墓地に

私は一人佇む

 

人からも

ユダヤ人さえからも

やがて世界からも知られず

一人執務室で毒を仰いだ

孤独な男

 

チェルニアコフ

あなたはワルシャワ・ゲットーの

ユダヤ人協議会の議長で

元は電気技師

誰の目にも政治とはほど遠い

だからナチスの連中も

あなたを無害と思ったにちがいない

 

チェルニアコフ

息子ほどのナチスの将校に

頤使され

時に重い軍靴でこづかれて

あなたの生活で

世界はすでに十分過ぎるほど

失われ尽くしていた

 

やがてあの移送がはじまって

パヴィアク刑務所に

コルチャクの子供たちが集められ

ウムラークシュプラッツから引き込まれた鉄道が

一人残らず

トレブリンカに運んだのを知ったとき

 

あなたは人生で初めて

内臓液の、脳漿の一滴まで

搾り尽くして

泣いたのだ

 

涙があなたの丸眼鏡の縁にたまり

嗚咽が執務室にこだまする

 

ああ絶望の涙が流れる一方で

私は願わずにはいられない

夜明けの窓に一つでも

金の星が

ちいさく瞬いたことを

 

少なくとも彼が

絶望の孤独の中で

死を選んだのではなかったと

そう思えるから

 

もうじき日は暮れる

ワルシャワの街が夜気に包まれる

もう零下だ

ユダヤ人墓地に人影はない

 

失われた世紀の英雄

アダム・チェルニアコフの墓碑に

ユダヤ人の古い慣例にならい

の小さな石を置いていこう