山梨さん
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「可憐」

 

可憐

 

君よ、憶えている

はじめて会った日のことを

 

君よ、リノリウムの鈍い廊下に

午後の薄日が茜に射し込み

 

君よ、その手その瞳

今も古い歌を唄ってる

 

君よ、いくつかの薫風に

つばめが時々啼いていた

 

君よ、あのけざやかな朝

木陰を薄く透かす光

 

君よ、だから七重に時がめぐっても

誰にも言わせはしない

 

君よ、あのときが

人生でいちばん美しかったなどとは

 

君よ、魔法を解こう

あの取っ手に手をかけて

 

名を

君の名を呼ぼう

もう一度出会う、あの場所で